◎ 損失額の繰越控除制度
 ・ 繰戻し還付制度



損失額の繰越控除制度 及び 繰戻し還付制度の <法人・個人での比較>



◆ 損失額 (欠損金) の繰越控除制度


◎ 個人の場合→ 「純(雑)損失の繰越控除」制度、 法人の場合→ 「欠損金の繰越控除」制度


 個人の場合法人の場合
損失が生じた
年(期)の申告
青色申告白色申告青色申告白色申告
繰越控除できる
損失額の内容
  • 純損失の金額
    (所70条)

  • 雑損失の金額
    (所71条)
  • 純損失の金額
    の内、変動所得
    の損失と被災事
    業用資産の損失
    の金額


  • 雑損失の金額
  • 各事業年度の
    欠損金額

    (右の災害損失
    を含む)

    (法57条)

    資本金1億円超
    大法人等(注)
    当期の所得金額
    の8割を限度に
  • 災害損失欠損
    金額


    (法58条)
  • 繰越控除期間○ 翌年以降3年間○ 翌期以降9年間
    (20年4月1日以後終了する事業
    年度の繰越欠損金額から)
    ○ 翌期以降7年間
    (13年4月1日以降開始した事業
    年度に生じた欠損金額)
    ○ 上記以外は5年間
    損失額の意味
    (定 義)
    【純損失の金額】
    損益通算をしてもなお控除しきれ
    ない損失の金額
    (一般の土地・建物等の譲渡損失
    はないものとされ繰越控除不可)


    【雑損失の金額】
    雑損控除の金額が合計所得金額を
    超える場合 :その超える部分の金額
    【欠損金額】
    損金の額が益金の額を超える場合
    :その超える部分の金額

    【災害損失欠損金額】
    欠損金額の内、棚卸資産、固定資
    産、繰延資産について災害により
    生じた損失の金額
     災害とは震災、風水害、火災等
    繰越控除の要件≪損失が生じた年≫
      期限内に損失申告書

    ≪その後の年分≫
      連続して確定申告書を提出
      (青色 ・白色(※)を問わない)
    ≪損失が生じた期≫
      確定申告書
    (災害損失の場合、明細記載)

    ≪その後の期分≫
      連続して確定申告書を提出
      (青色 ・白色を問わない)

    (※) 廃業等をした場合の青色申告者の純損失の繰越で、翌年が給与所得のみの場合でも可

  • 法人の欠損金の繰越控除の期間が7年から9年に延長されたことにより、≪帳簿書類の保存期間≫ が9年(従来7年)に延長されました
  • 法人税に係る ≪更正の期間制限≫ について、次のように延長されました
  •       @ 欠損金額に係る更正の期間制限が9年(従来7年)に
          A 脱税以外の場合の過少申告に係る更正の期間制限が5年(従来3年)に



    ◆ 損失額 (欠損金) の繰戻し還付制度


     個人の場合法人の場合 (注)
    繰戻し還付が
    できる者
  • 前年分について青色申告者
  • 設立5年以内の中小企業者
    (→改正あり
    還付所得事業年度から
    欠損事業年度については
    連続して青色申告 ☆
  • 繰戻し還付が
    できる損失額
    ○ 当年の純損失の金額の全部 又は
    一部を前年分の課税所得から控除し
    前年の税額を計算し直す(*)
    ○ 当期の欠損金額を限度 → 連続して青色申告
    前期の法人税額×(当期の欠損金額
    ÷前期の所得金額)
    繰戻し還付の
    要件
  • 期限内に損失申告
     同時に 『純損失の繰戻しによる還付
     請求書』 を提出
  • 期限内に青色申告
     同時に 『欠損金の繰戻しによる還付
     請求書』 を添付

  • (注)
    大法人の子会社は、中小企業に認められている特例の適用はありません

    (*) 当年中に廃業、死亡等のため、前年分に生じた純損失の金額を 当年以後に繰り越すことができなくなったときにおいても、前々年分について青色申告書を提出していた場合には、前年に生じた純損失の金額を 前々年分に繰り戻すことができます

  • 損失の繰戻し還付請求をした場合、多くの場合 確認のための税務調査が行われます



  • ≪事業に戻る≫

    ≪期限後申告に戻る≫ ≪合計所得金額に戻る≫ ≪中小企業優遇税制に戻る≫

    ≪青色(個人)申請に戻る≫  ≪青色(法人)申請に戻る≫  ≪雑損控除に戻る≫



    個人の 「純(雑)損失の繰越控除」、法人の 「欠損金の繰越控除」 といわれるものを比較しました。 
    なお、平成16年及び平成24年の税制改正で 法人だけについて繰越控除可能期間が延長されました。




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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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